千葉県浦安市で鍼灸院をしているTENGEN院長です。
9月24日(日)に積聚会主催の講習会応用1コースがありましたので、行って来ました。
今回で7回目、後3回なのでだんだん佳境に近づいてきました。
場所は毎度おなじみ積聚会事務局です。
前回は病症と治療方式をやりました。今回は前回の治療方式の基本治療をして、なお精気の虚が補いきれない場合の補助治療として脊際・督脈の背部ラインと鍼・灸についての刺激手段の講義になりました。
背部ライン
精気の虚の程度(病症)が強い場合には、1行線・脊際・督脈の使用を考える。
身体を陰陽で見た場合、前面(胸・腹部)を陰とするならば後面(背部)は陽になります。
背部を見た時に、膀胱経2行線のラインは陽面の中でも、より陰的になります。(陽中の陰)
正中線に沿った督脈は陽面の中でも、より陽的になります。(陽極~陰陽転化)
「陽極まれば、陰になる!」というように、正中線にある督脈が一番陰に影響を与えることになります。
「じゃぁ~最初から督脈に治療すれば良いじゃない!」と思われるかもしれませんが、
最初から深い刺激を患者さんが受け入れることが出来るか、わからないので背部の中でも負担が少ない膀胱経2行線から施術をしていきます。
膀胱経2行線の基本治療で精気の虚が補われれば、それでOKなのです。
背部兪穴選択の原則
①膀胱経2行線は4穴を必ず用いる。
②1ライン1領域1穴のみ用いる。
③多いと8穴になる。(膀胱経2行線4穴+1ライン4穴)
④督脈・脊際は灸(透熱灸・知熱灸)が可能
- 病症の程度によって変えていく
- 時間は変えない(選穴数が増えて時間を加算するのではなく、同じ治療時間に収める)
- 精気の虚が大きい程、陽的なラインを使う
- 督脈を使っても変化がない場合は予後が悪い。もしくは技量不足
刺激からみた精気とは
〇生まれた時にそのヒトに与えられた最高の質(生命)を指す
精気とは
- 万物を生成するもとになるもの
- 万物の根元の気
- 人の生命を活動させるもとになる力
- 精力
〇精気は虚していく=死に徐々に向かっていく
〇精気の絶 → 死のことを指す
〇健康的に老衰して死を迎える → 生理的な精気の絶
身体を回復させる力は治療による刺激を消化する力と理解できる
⇒ 刺激の消化力
背部兪穴の刺激手段
鍼と灸の刺激の違いについて
SJ毫鍼
SJ鍉鍼
陽面が非常に実しているか、精気の虚の程度が強いとき刺激は強く(長時間)になる。
透熱灸
精気の虚の程度が強いほど透熱灸は強くする
(熱を吸収する力がまだある状態に対応する。)
知熱灸
精気の虚の程度が強いほど知熱灸は弱くする
(熱を吸収する力がまだある状態に対応する。)
積聚治療では、艾烓は硬めに作ります。(固さを調節すると温度が安定しないので)
強くする場合は壮数を多く、弱くする場合は壮数を少なくします
背部兪穴と刺激の関係
治療例
- 病症から治療方式を選択する
- ラインは督脈の選択を基準とする
- 道具は指標の変化から選択する
まとめ
治療方式・背部のライン・手段(道具)・刺激量などは術者の判断に委ねられます。
術者の技術が千差万別なのと、患者の身体の状態を診ながら治療を進めていくので、
「この穴には何分間鍼をして」とか「ここには何壮お灸をして」などは決められないのです。
しかし、治療方式・背部ライン・手段の使い方を知ることによって、治療中指標の変化が乏しい時に次の一手を意識することができるのは、とても重要な事だと思います。
「選穴数が増えても治療時間を変えない!」のは治療に集中していないと、どんどん時間だけが過ぎていってしまいます。
もっともっと集中(意識)を高めていけるように頑張ります!
今回も充実した内容の講習会でした!
あと3回ですが、どんどん吸収して自分のものにしていきたいです。
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