千葉県浦安市で鍼灸院をしているTENGEN院長です。
だいぶ更新が遅れてしまいましたが、7月2日(日)に積聚会主催の講習会応用1コースがありましたので、参加して来ました。
会場は毎度おなじみ錦糸町にある積聚会事務局です。
今回は項目が盛りだくさんでした。
問診ポイント
労働
病因としての労働の問題は結果的にストレスのことになり、感情の起伏が激し過ぎると身体にとって負担になる。
- 相手のミスにイライラし過ぎたり
- 仕事がうまくいかなくて思い悩み過ぎたり
- 怒られるのではないかと恐れたりし過ぎたり・・・など
精神的にストレスが積み重なると身体に負担がかかり、様々な症状がでてくるのは現代社会ではとても多いのではないでしょうか?
では、肉体労働の場合はストレスはないのでしょうか?
そんなことはありません。肉体的に負荷がかかり過ぎればそれは肉体的なストレスになります。肉体的なストレスがかかり続ければ疲労は蓄積され、身体にとっては負担になってしまいます。
労働の場合は、就業時間・就業時間帯・残業の有無・休憩時間の長さ・仕事の環境などにも大きく影響が出てきます。
- 時間:通勤時間帯(昼間・夜間)、通勤時間の長さ、勤務日数、残業
- 場所:通勤手段、屋内勤務or屋外勤務
- 姿勢:仕事時の姿勢(座位か立位か、動きは激しいか否か)
- 空間:部屋の広さ、天井の高さや面積、 机や椅子などの配置の状態、通路や廊下などの空間の広さ
- 構造:床の材質などによる歩行の安定性、 階段の勾配・蹴上がり(一段の高さ)椅子や机と身体との適合性
- 色彩:壁や床、天井の色、照明の色、装飾、模様
- 音:人の話し声、電話やBGM、外の自動車や作業の音、騒音
- 採光:窓の大きさ・広さによる自然光、照明状態
- 空調:外気取入れの有無、空調状態、空調設備の位置
- その他:自動車使用か、OA機器の使用頻度、窓からの眺望、服装、履物など
積聚治療 小林 詔司 著 医道の日本社 参照
房事(セックス)→セックス過剰
目的
- 生殖作用であり、子孫を作ること
- 異性間(時には同性間)の精神的な融合を高めたり、あるいは摩擦を解消することで人生をより有意義にする手段であること
- 現代ではあまり自覚はないが、快楽を通じて長生きするためのもの
男女ともに肉体的な気の消耗は激しいものであるが、それに替わる精神的な充足感があれば、その消耗を補って余りあるといえる。しかし、その度が過ぎると精神面の充足感は低下するので、それだけ肉体的に疲労感が残る。
↓
精気が虚する
咬傷・毒
①ペットの有無(犬・猫・爬虫類・昆虫)
人が耐えられない程の強力な細菌・毒物が身体を侵すこと。個人差はあるものの、人間の気力の限界を示すもの。血清やワクチンなどは貴重な治療法。
傷口から出来るだけ早く血液と共に毒物を出すことが重要になる。
毒物が少しでも残っていれば精気の虚につながり、さらに別の病状をもたらす可能性がある
②金属アレルギーと化学物質
アクセサリー、美容小物、バックル、楽器、歯科金属、体温計、医薬品、石鹸類、洗剤、
皮革製品、染料、印刷用インクなど
↓
アレルギーがあるから反応するというよりも、元々これらの金属・化学物質は人の耐性を上回る影響力を持っている物質なので、身体が弱って耐えられないと反応すると考えられる。
(歯科金属は本人も知らない状態で反応する場合がある。症状がでた時に歯科金属とは考えない場合があるので注意が必要である。)
Cr(クロム)・Co(コバルト)・Ni(ニッケル)・Hg(水銀)・Au(金)
Pd(パラジュウム)・Rh(ロジュウム)・Pt(プラチナ)の8種類
感染症
インフルエンザ、結核、性病、エイズなど
これらの原因は病原性微生物であるが、いずれも強力な気力を持ったものである。
しかし、感染しても必ず発病するとは限らない。
インフルエンザの感染率は約16%・感染力が高い麻疹(はしか)でも約40%程です。
インフルエンザなどは予防接種をしていても罹る人は罹ってしまうし、罹らない人は予防接種をしなくても罹りません。では、いったい何が違うのでしょう?
インフルエンザに感染したから発病するというよりも、インフルエンザという強い気力に体が耐えられなくて発病すると考えます。
日頃から体調を整えといて気力を充実させておけば、発病の防止につながります。
外傷・事故
打撲・交通事故・外科手術など
意外に関係ないと思われている方々が多いですが、外傷・事故は身体にとってはかなりの負担になります。
打撲などは、「レントゲンで骨に異状がなかったから大丈夫。」といわれる患者さんも多いですが、正確にはレントゲンは骨しか映らないので、問題ないとはいえません。
そして、痛みが落ち着いてしまうと打撲をしたこと自体忘れてしまいます。
しかし、身体にとっては打撲をした事によって、その修復にかなりの気の消耗をします。そして、時間が経つと全身に影響がいってしまうのです。
手術の場合も同様で「手術をして成功したから問題ないだろう。」と思いますが、どんなに小さな手術痕でも身体にとってはかなりの負担になります。
時間が経って、打撲した所や手術痕が古傷のように痛む場合があります。同一部位だと判りやすいのですが、違う部位や離れた部位だとなかなか関連性があるとは考えません。しかし、時間と共に気の消耗は全身に影響してしまうので、十分考えられる事なのです。
既往歴と社会歴
既往歴と社会歴を照らし合わせながら問診していき、何によって気の消耗が生じたのかを時系列で考える。
既往歴
大きい大病や手術の有無は覚えている人は多いが、ちょっとした怪我やよくある体の変調などは意外に忘れてしまっている事も多いです。(ちょっとした怪我などは、今回の主訴に関係ないと思われて、話してくれない方もいますがそもそも体は一つなのですから必ず何かしらの影響は受けていると考えます。)
社会歴
住居環境・仕事・職場環境・家族環境・趣味・学生時代の環境など
既往歴を確認して、その原因を社会歴を参考にしながら確認していきます。(逆に、社会歴を確認しているときに既往歴を思い出す事も多々あります。)
以前、師匠にこの既往歴と社会歴を時系列に確認することで、患者さんの【身体の履歴書】を作る作業をすると教わりました。
患者さんは今の痛みだけを考えてしまいます。【身体の履歴書】を作ることによって、今までに身体の負担がどれだけあるのかを認識してもらい、今の身体の状態を自覚してもらうことも出来るのです。
主訴を聞く
患者さんは何かしらの痛みや不調があって来院するわけですから、主訴をしっかりと聞きます。
主訴を聞く基本は、洋の東西問わず、5W1H(5W2H)が基本になります。
いつ(when)・どこで(where)・だれが(who)・なにを(what)・なぜ(why)
どのように(How)・どのくらい(How mach/How many)
- 発生日時:いつから痛むのか(気になるのか)
- 発生状況:何をすると痛むのか(きになるのか)
- 時間的経過:痛み(気になる)がでだして、変化はしたか
- 部位:どこにどの位の範囲で痛むのか(気になるのか)
- 性状:ズキズキ・ジンジン・重い感じ・ムカムカ・痛くはないが違和感など
- 程度と頻度:どうすると痛み(気になる)がでるのか?それは毎回なのか?
- 持続:痛み(気になる)がでるとしばらく続くのか?すぐに治まるのか?
- 増悪因子:この動作、姿勢などをすると増悪する
- 随伴症状・合併症:この動作をすると痺れが強くなるなど
- 日常生活・社会生活への影響:動くのも辛くて仕事にならないなど
動作や姿勢で痛みや違和感がでるのなら、施術前に実際にその姿位になってもらう。施術後にどう変化をしたのか確認してみる。
患者さんはどうしても痛いか・痛くないかで判断してしまいがちになります。少しずつ身体が変化していても、いつまでたっても痛いとなってしまいます。そこで、施術前と施術後に実際に痛み・違和感のでる動作や姿位をしてもらい、どのくらい変化したかを患者さんにも認識してもらう事が重要になってきます。
まとめ
今回も内容盛りだくさんの講習会でした。実際の講習会はもっと項目が多く、今回は一部抜粋してブログを書きました。
治療院の初診時も今までの講習会でも習ったポイントをふまえて問診していきます。
たまに聞き忘れてしまったり、患者さんが思い出せないこともありますが、その時は次回以降に聞いて少しでも患者さんの身体の状態を把握する必要があるのです。
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