千葉県浦安市で鍼灸院をしているTENGEN院長です。
12月17日(日)に積聚会主催の講習会、応用1コースの講習会がありましたので行って来ました。
場所は、毎度おなじみ錦糸町にある積聚会事務局です。
応用1コースの講習会も今回が最終回になります。
最終回の講義内容は、
補助治療で用いる指間穴になります。
では、積聚治療における補助治療の位置づけからみていきましょう!
基本治療と補助治療
積聚治療の要諦
- 人は精気の力で生きている。
- 病は、精気の虚によっておきる。
- 治療とは、精気の虚を補うことである。
- 診断と治療の指針を指標という。
- 腹部の異状を積聚と言い、全身状態の反映とする。
- 証に基づいて背部兪穴に治療することを基本治療とする。
- 基本治療は、腹症に基づいた膀胱経2行線の治療を主とする。
- SJ鍼、SJ鍉鍼を基本的な治療手段とする。
- 意識を治療に用いる。
- 必要に応じて、補助治療を用いる。
積聚治療の根底には、病は精気の虚によって起こり、治療とは「精気の虚を補う」ことにあります。
基本治療だけでは精気の虚が補いきれない場合に補助治療をしていきます。
基本治療と補助治療どちらも目的は精気の虚を補うことなのです。
ここでよく「本治法」と「標治法」の考えを思い出す人もいると思います。
〇本治法と標治法
近代になり、「標治法」「本治法」という用語が生まれた。主たる診断を六部定位脈診で行い、治療の選穴を主に『難行』:六十九難の法則によって行うことを柱としている学派を「経絡治療」といい、昭和になってから漢方復興という理念で生まれた日本を代表する古典派である。この経絡治療では、「病の本質は経絡の虚実によるもの」と定義し経絡の虚実を「本」、経絡の虚実を治す治療を「本治」ないし「本治法」と呼んでいる。「標」は表に現れた種々の症状のことで、経絡の虚実の結果生じたものと考えている。すなわち、本治法とは経絡の虚実という気血運行の失調にたいする補瀉法という。本治法を施すことによって経絡の虚実が治り、虚実の結果として起きた標である症状も治るとするものである。対症療法的治療法である標治法は、基本的には要らないことになるが、本治法によっても標の症状が治りきらない場合には標治法を行う。
このような経絡の虚実にたいする補瀉の法を本治法と呼び、それ以外の症状にたいする対症療法的治療を標治法とするのは、経絡治療独特の概念である。
東洋医学概論 医道の日本社
積聚治療の基本治療・補助治療とは、ちょっとニュアンスが違ってきます。
上記の図は補助治療の位置付けになります。
①外傷治療:まず第一に外傷の有無を診ていきます。
(患者本人が自覚している、していないに関係なく)
古い外傷ほど、頚部(項部)に圧痛がでます。
②基本的な補助治療:陰陽間(気の接する所)で観ていきます。
③一般的な補助治療:例)膝の症状 失眠に灸など
基本的な補助治療
陰陽間による区分
前面と後面 例)胸部と背部
正中部の表裏 例)督脈と任脈
前面と後面の左右 左:陽 右:陰
上下 上:陽 下:陰
赤白肉の間 例)井穴、指間穴など
指間穴
- 手の指間穴:八邪(八関)穴 Eⅹ-UE9
- 足の趾間穴:八衝(八風)穴 Eⅹ-LE10
手の甲と平、足の甲と底を境界とすれば、身体の前後面の陰陽の接点と理解することができる。
症状と同側だけでなく、身体の左右反対側の症状に影響を及ぼす効果も大きい。
※任脈と督脈は身体の左右側の陰陽の接点といえる。
井穴は1本の経絡の末端。指間穴は2本の経絡が重なる点と理解する。
例)少商は母指の治療に用いる。
例)手の1・2指間の母指と示指の治療に用いる。
指間穴の位置 水搔きの部位
取穴時に骨際よりに取ってしまうと、榮穴の反応がでてしまいますので注意しましょう。
反応の診方
術者の母指と示指で手足の水搔きの前後面を挟んで圧迫し、痛みや違和感、あるいは圧して気持ち良い所を比較する。
- 注1)背側・掌側、両方確認しておく。
- 注2)触診時に厚みを診ておく。 →反応がでやすい。
施術
反応が強いところを対象とする。
慢性度が強いほど、患部から離れた水搔きを選ぶ。
手段
三稜鍼:うっ血がある場合
毫鍼:急性症状の場合
透熱灸:慢性的で症状が強い場合
知熱灸:熱に敏感な場合
鍉鍼:慢性的で他の手段では変化がみられない場合
道具の選択
毫鍼 | 急性の場合。鍼尖は中手骨間や中足骨間に向ける。
鍼管の使用及び刺入可。 例)四肢の痛みや寝違えなど |
透熱灸 | 慢性的に症状が強い場合。
※井穴と同様に陰陽の接点なので代謝が激しく、灸痕は消失する傾向にある。 |
鍉鍼 | 慢性的で他の手段では変化がみられない場合。
例)入院患者さんなど |
知熱灸 | 熱に敏感な場合。 |
三稜鍼 | うっ血がある場合。 |
対象症状
身体の左右に症状が偏っている場合。
〇外傷性
- 慢性症状:反対側の指間穴に施術
- 急性症状:同側の指間穴に施術
〇外傷以外
慢性度が強いほど、患部の反対側で遠い指間穴を選択する。
右肘の痛みに対しては左手の水搔き、さらに左足の水搔きを選択。
応 用 例
足の捻挫:患部と同側の足の趾間穴
手の突き指:患部と同側の手の指間穴
膝痛 :患部と反対側の手の指間穴
肩関節の痛み:患部と反対側の足の趾間穴
片頭痛 :患部と反対側の足の趾間穴
まとめ
今回は指間穴の講義でした。
私も臨床では、大変お世話になってます 🙂
水搔き部分の透熱灸は手足の末端に近いので、かなり熱いです。でも、患者さんも我慢した甲斐があって効果は大きいです。
透熱灸の場合、お線香で点火する前にお線香の熱で熱くなってしまう事があります。
艾烓の形など色々工夫してみましょう!
応用1コース全10回も今回の講義で終了になります。
新しい発見や今まで忘れていたことの再確認など、とても充実した講習会になりました。
そして応用1コースという事は・・・
次は応用2コースになります。
来年は応用2コースを受講してきます!
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