千葉県浦安市で鍼灸院をしているTENGEN院長です。
年が明けて何も変わらない生活をしていましたが、あっという間に1月が終わろうとしています。(この記事が完成したときは2月になってしまいました。)
気が付いたらブログを書くのを忘れていました 🙄
今年の冬は例年と比べても、かなり寒く感じますね!
最強寒波がやって来たり、都心でも積雪があったり、連日最低気温が氷点下になったりと・・・
寒いとなかなか体を動かすのが億劫になりますね?
患者さんも
「こんだけ寒いと外に出たくない!」とか
「寒いからついつい、おでんやお鍋などをよく食べちゃう!」とかをよく聞きます。
では、家でじっとしていて、熱い物を食べていると身体は冷えないのでしょうか?
私は患者さんには一年中「身体を冷やさないようにして下さい!」と言っています。
今回は「身体を冷やさない!」事についてお話ししたいと思います。
冬は身体が冷えたままなのか?
人間は外気の温度変化にも体温を一定に保とうとする働きがあります。
ヘビや カエルと違って冬眠することもありません。
では、人間はどのようにして体温を一定にしているのでしょうか?
人間は、体内の熱の産熱と放熱のバランスによって維持されています。
熱産生(産熱)
(1)基礎代謝量
皆さんも一度は耳にした事があると思います。
細胞は絶えず物質を取り入れて細胞内で新しい物質を合成・分解をさかんに行っています。これを代謝と言います。代謝の際にエネルギーを産生させます。目の覚めている状態で、生命維持に必要な最小限の代謝量と基礎代謝量といいます。
基礎代謝によって産生されるエネルギーは体温の維持に重要になります。
実は、冬場の方が代謝量は上がります!寒い外気によって体が冷やされるのを防ぐために代謝を上げるのです。逆に夏場の場合は、外気が暑いので代謝を上げるより放熱の作用の方が働きは大きくなります。
本来、脂肪とは外気からの寒さから守り身体の熱を逃がさない、謂わば【防寒具】の役割をしています。しかし、『身体の芯から冷えている』人は外からの熱も脂肪によってブロックされ身体の芯まで熱が伝わりずらくなり、表面に熱が偏ってしまうので汗を掻いて熱を放出してしまいます。汗で冷やされると身体は「もっと脂肪をつけて防寒しないと!」となり更に脂肪がついてしまう悪循環になってしまいます。適度な運動や身体を冷やさない事で、防寒具としての脂肪の役割が無くなれば、自ずと脂肪は減少していくでしょう。
(2)筋肉の動きによって起こる産熱
運動することで筋肉が収縮し、それに伴って熱が産生されます。運動をしていなくても姿勢保持によって筋緊張がしていても産熱は起こっています。そして、寒い時には筋肉を細かく律動的に収縮して、ふるえによって熱を産生させます。これをふるえ産熱といい、寒くてふるえているのは熱を起こさせようとする行為なのです。
(3)食事によっての産熱
食事摂取後数時間は、消化管運動が高まり、吸収された物質の代謝が増加して熱を発生させる。
(4)ホルモンの作用による産熱
甲状腺ホルモンには代謝促進作用があり、長時間にわたって熱産生を増大させる。
中枢神経内の神経伝達物質カテコールアミンは、グリコーゲンを分解して血糖を高めて産熱を促す作用がある。
女性ホルモンの黄体ホルモンには代謝促進作用があり、排卵直後から月経に至るまでの間の基礎体温を上昇させる働きがある。
(5)放熱の防止
寒い時には、今までの産熱の仕組みに加えて身体の熱を放散させにくくする仕組みが働く、皮膚血管を支配する交感神経の活動が高まり、その結果、皮膚血管は収縮して皮膚血流が減少し、体熱の放散を抑えられる。人では関与が少ないが、立毛筋の収縮により立毛が起こって体表面の空気層の厚さを増し、放熱を防止する。【人では鳥肌という状態になる】
放熱の防止は、産熱効果を高めることになる。
熱放散(放熱)
(1)放射
人体からそれと接触していない他の物体へ熱が伝達されることを放射という。放射で失われる熱量は、皮膚温と物質の温度差、および放射の起こる体表面積の増大に伴って増加する。
(2)伝導と対流
伝導とは、人体からそれと接している他の物質に熱が流れることである。例えば、冷たい空気に接すると、体熱は身体から周囲の空気中へ伝導によって失われる。空気の対流(たとえば風)があると、放熱はさらに効果的に行われる。伝導と対流によって皮膚から単位時間に失われる熱量は、皮膚温と外気温の差および体表面積の増大に伴って増加する。
(3)蒸発
水分が体表面から蒸発する際に、気化熱が体熱から奪われる。
体表面からの蒸発は『不感蒸散と発汗』によって行われる。不感蒸散とは、常時起こっている身体からの水分の蒸発現象で、一般に意識にのぼらないものをさす。不感蒸散は1日当たり、皮膚から600~700ml、肺から150~450mlあり、合計で1ℓに及ぶ。
発汗は汗腺からの分泌現象で、汗の蒸発により放熱を起こす。発汗による放熱は、外気温が30℃を越えると急激に増大しはじめる。35℃以上になると放射と伝導・対流による放熱はもはや起これず、もっぱら発汗による蒸発により放熱が行われて体温の上昇を防ぐ。
(4)発汗
温熱性発汗
外気温が上昇すると、手掌・足底を除く全身に発汗が起こる。これを温熱性発汗という。
暑い時に激しい運動をすると発汗量が1.6ℓ/時にもおよぶ。温熱性発汗は、視床下部の体温調整中枢により統御される。
精神性発汗
精神的な緊張の際には特に、外気温に直接影響を受けることなく、手掌・足底・腋窩に発汗が起こる。これを精神性発汗という。精神性発汗は大脳皮質により統御される。
生理学 第2章 医歯薬出版株式会社 参照
熱い物を食べると身体は温まるの?
寒い日が続くと、どうしても温かいものが食べたくなりますね?
おでんやお鍋、あと辛いものなども体が温まるので食べたくなります。
では、毎日おでんやお鍋、辛いものを食べ続けると身体は温まるのでしょうか?
身体に吸収させるには?
食べ物や飲み物を身体に取り込むと、全てを吸収してくれるわけではありません。
身体に吸収させやすいように、先ずは消化をしていきます。
この消化の時に体温に近い状態に持っていかなければ、身体に吸収できないのです。
熱い物を食べて続けて体温がどんどん上昇してしまえば、身体にとっては危険な状態になります。
熱い物でも冷たい物でも、一旦体温に近い状態に持っていく必要があります。この体温に近づける時や消化をする時に、身体はエネルギーを使うのです。
熱量が多い物や冷た過ぎる物、消化の悪い物などは沢山のエネルギーを使わないと消化・吸収が出来ません!
東洋医学では、消化・吸収で使うエネルギーも【気】と表現します。
気の消耗が激しくなれば、それだけ身体にとっては負担になってしまい、結果、どんどん身体は冷えていってしまうのです。
お酒は身体を温める?
昔から『酒は百薬の長』といわれています。
お酒を飲むと血行が良くなり、リラックス効果もありますので身体に良さそうです。
しかし、それはその人にとっての適量の範囲内での話です。
そもそもアルコールは身体に入ってくると、そのままの状態ではいれないので消化と分解をしていきます。この分解の途中で毒素が発生します。その毒素も分解して尿として体外に排出されるのです。
東洋医学からの観点
少量のお酒ならば血の巡りが良くなったり、気の巡りが良くなったりします。
みんなで酒を交わせば心が和やかになるので、そうゆうところが酒は百薬の長の由来なのかもしれません。しかし、飲み過ぎたりすると、先程の消化・分解を身体の中で繰り返し行われているので、気の概念からすると気の消耗が激しいことになります。気が消耗してくると、身体には色々な偏りがでてきます。体の熱は、上や外側に偏ってでてきます。この状態が、顔が火照ったり、頭がフラフラしたりする症状です。
陰陽は平衡を保ちまするので、上や外側に陽(熱)が偏れば、下や内側に陰(冷え)が寄っていってしまいます。飲み過ぎた時に、上半身は体が火照っているのに、足元は寒くなるのは、かなり偏りがでている証拠です。
アルコールは分解を繰り返して最終的に尿となって排出されます。
お酒がある程度進むと、トイレの回数が増えるのはそのためです。
尿は体から排出するときは体温に近い温度になっています。尿を多く排出するという事は、結果、熱も排出していることになります。
その為、飲み過ぎると身体は冷えていくのです。
白湯は体に良い?
最近では、女性の間で「便秘解消に効果的!」や「ダイエットに効果あり!」や「白湯を飲んで体のデトックスをしよう!」など大変注目を集めています。
当院でも患者さんに「水分補給をするなら、白湯を飲んだ方が良いよ!」と勧めます。
別に、便秘解消やダイエットの為に勧めている訳ではありません。
私が白湯を勧める一番の理由は、
身体に負担がかかりにくい!(気の消耗が少ない)からです。
先程、飲食の消化・吸収の所で、熱い物でも冷たい物でも体の中に取り込むときには、体温に近い状態に持って行っているので、気を消耗していきます。その点、白湯の場合は、元から体温に近い状態【やや温かい(だいたい50度くらい)】なので、消化・吸収のエネルギーも少なくて済み、気の消耗度も抑えられます。
食事は陰陽のバランスが大事!
以前、講習会の時に、講師の先生が「何故、ワインが体に良いと注目されたでしょう?」と質問されました。
「ワインにはポリフェノールが沢山含まれていて、抗酸化作用による生活習慣病の予防になるから。」と思いました。
しかし、それは後からワインの成分を調べたら分かったことだそうです。
元々、フランス料理自体が陰陽のバランスがとれている食事だからだそうです。
「では、皆さんも毎日、フランス料理のコースメニューを食べましょう!」というわけにもいきません。
そして、皆さんも自ずと、身体は陰陽のバランスをとろうとする物を欲しているのです。
例えば・・・
フライドチキンやピザ(陽)を食べている時に、自ずと冷たいジュースやビール(陰)が欲しくなりませんか?
甘い和菓子(陰)を食べた後、温かいお茶(陽)を飲みたくなりませんか?
身体は自ずと、陰陽のバランスを保とうとしています。
「じゃぁ~、欲するままに飲み食いしていいのか?」と思うかもしれませんが、それは間違いです!欲するままに飲み食いしたら、どうしても陰陽のバランスに偏りがでて、気の消耗が激しくなります。
重要なのは、その人にとっての陰陽のバランスがとれているか?(その人に合う食事をしてもらう事になっていきます。)
まとめ
今回は「身体を冷やさない!」について書いてみました。
特に食事の話が中心になってしまいましたが、他の生活習慣は別の記事に書いていきたいと思います。
気の消耗が激しくなってくると、それだけ身体は冷えて硬くなっていくのです。
他の生活習慣にも共通して言えるのは、「少しでも、気の消耗を抑えてあげる。」という事です。
人は何もしなくても徐々に気を消耗していきます。(気を消耗しないというのは、人は死なないという事になってしまいます。)
詳しくはこちらの記事で
コメント