千葉県浦安市で鍼灸院をしているTENGEN院長です。
10月28日(土)に母校である両国で卒業生セミナーがありましたので、行って来ました。
最近は、学校に着く時間帯ですと日が短くなってきているので、かなり暗くなっています。
なので、写真が毎回同じなのはご了承ください。
恒例のセミナー前の腹ごしらえは都営大江戸線両国駅の近く清澄通り沿いにある
つけ麺屋ごんろくに行って来ました。
今回は「辛味つけ麺」にしました。
ここのつけ麺屋は、並盛・中盛・大盛があり、すべて同一価格になります。
セミナー前にお腹が一杯になってもしょうがないので、今回は中盛にしときました。
久しぶりに食べると美味しかったです!
では、ここから本題に入りたいと思います。
前回、脈診と脈調整の説明がありました。
今回は腹診の講義になると思っていたのですが、
先生から「脈診の仕方がみんなバラバラ!」との事で
今回はプロジェクターを使っての解説になりました。
脈診のポイント
プロジェクターで写真を見ながら、脈診時の術者の手の使い方や患者の肢位などの注意点がありました。
悪い例の写真を何枚か用意してあり、「どこが悪いのか」を解説してもらいました。
術者の手のポイント
1.しっかりと人差し指・中指・薬指を伸ばして指腹で脈を診ること
- 指を曲げて指尖で脈を診ない
2.親指・小指の位置に注意する
- 親指は患者の陽池穴〔手の甲側で手首の中央〕に当てているか
- 小指は手首を挟み込む、もしくは指をしっかり曲げておく
3.手首の角度に注意する
- 通常、術者が右利きの場合は患者が仰向けの時、患者の左側になります。この時患者の右手の脈を診る時に、術者の手首が真っ直ぐになっていると指の当たり方が斜めになってしまうので、術者の手首をやや橈屈(親指側に曲げる)させて指と脈の触り方を均等にする
患者肢位のポイント
1.前腕の角度に注意する
- 患者の両手が腹部に乗るような自然な姿勢をとらせるのが基本になります。その時、患者の前腕部はやや回内位になります。患者さんが無意識に回外位の肢位になっている場合があるので術者が意識して自然な姿勢になっているかを注意しましょう
2.手首の角度に注意する
- 患者さんが力を抜いている状態の時に手首が掌屈(手のひら側に曲げている)している場合があります。このまま脈を診てしまうとしっかりと脈が診れません。患者さんの手首がフラットか、やや背屈になるように注意しましょう。
こちらの写真は、積聚会会長の小林詔司先生の脈診の構え方です。
美しい構え方です。
無意識にでもこの構え方ができるように頑張ります!
風船理論
よくセミナーや講習会などで話がでる、風船とそれを支える手の関係を陰陽の病症で表して説明してくれました。
① 正常
- 陰の力と陽の力のバランスがとれている状態。
- 陽の力(浮力)にも負けない陰の力(支えている手)がしっかりあり、それでいて陰の力も必要以上に力みがない状態です。
② 陰虚
- 陰の力(支えている手)が少し疲れてきて、陽の力(浮力)を抑えられない状態。
- まだ、陰の力(支えている手)の気の消耗はそこまで激しくないので、陽の力(浮力)が少し上がっていますが、まだ抑えられる状態です。
この状態が病(病的な精気の虚)の始まりになります。
③ 陰実
- 陰虚が進むと、必要以上に陰の力(支えている手)が力みがでている状態。
- 一見バランスがとれているように感じるが、陰虚が進んでいるので気の消耗が起こっており、本来の陰の力以上に気を消耗してしまうので、精気の虚が進んでいる。
- 陰に実症状が起こり、内面などに熱のコントロールが効かない状態。
④ 陰実陽実
- 陰虚が進むと、陰の力(支えている手)に力みがでていても、陽の力(浮力)を抑えられない状態。
- 風船が陽のラインを越えて実症状がおこり、陰の力も力みがでているので実症状がおこる。
- 陽実と陰実が混在している状態。
⑤ 陽実
- 陰虚が進むと、陽の力(浮力)を抑えられない状態。
- 風船が陽のラインを越えているので実症状がおこり、上部・外面などに熱のコントロールが効かない状態。
⑥ 陽虚
- 陰虚が進むと、陽の力(浮力)も無くなり風船がしぼんでしまい、気の消耗が激し過ぎるので陰の力もかなり弱まり、自分の腕すらも支えられない状態。
- この場合、陰も陽も力が無い【熱を起こさせる力もない】状態になるので、重症度はかなり高い。
特に、陰実、陰実陽実、陽実は実症状ばかり着目してしまいがちになるが、陰虚が高じて上下・内外などに偏りがでている結果なのである。ここで言う陰虚は、精気の虚(生命力の低下)とも言い換えることができる。
今回の順番が病気の進行具合や病気の重症度の進み具合ではない。
陰虚→陽実になる場合もあるし、陰虚→陰実陽実になる場合もある。
病症の出方はその人それぞれになってしまう。
ただし、おおむねは陰虚病症は軽症であり、陽虚病症は重症となる。
この風船理論は脈の状態を説明するのはもちろん、病症の説明にもなるので大変わかりやすいと思います。
病症の詳しい説明はこちらの記事で!
まとめ
今回は、脈診時の手の注意点と脈・病症などの理論の説明が中心の講義になりました。
内容盛りだくさんの講義でした。
講義の説明はもちろんのこと、先生が合間に話す「こぼれ話」が治療に役立つヒントだったり、臨床で注意しなければいけない事だったり、セミナーを受けていないと聞けない話が目白押しです。
次回は腹診の講義になります。
今回の講義内容を意識しながら臨床に役立たせたいと思います。
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