虚実の言葉の意味を調べると
きょじつ【虚実】
〈虚〉を実体のないもの,うそ,偽り,〈実〉を実体のあるもの,
まこととみる一般的な考え方と,〈虚〉は超越的な存在根拠であり,
〈実〉はその具体的な現れであるという《荘子》風の考え方とがある。
中国では古く《荘子》関係の思想書にこの言葉が見られ,
以後詩文,書画,医学,兵学等の分野でもしばしば用いられた。
日本では主として近世の俳諧や演劇の方面で用いられ,
その芸術観,文学本質論,表現論等を記述する場合の重要概念となっている。
世界大百科事典 第2版の解説より
と記載されています。
これは少し東洋医学的な考え方と
離れてしまう(実体のあり・なし、嘘・真実だけではない)ので、
補足を調べてみました。
〈虚〉は超越的な存在根拠であり,〈実〉はその具体的な現れであるという《荘子》風の考え方とがある。
こちらは、東洋医学の発想でよく使われています。
虚実(きょじつ)とは、八綱弁証において疾病の過程における邪気と正気の闘争の現れで、
正邪の盛衰(病勢)に基づいて虚実という異なった病態が現れる。体質とも一定の関係がある。
虚証
虚とは、正気が虚弱なために現れる病態の総称。
身体に必要なものが不足することを主とするために起こる証候である病理の反映。
邪気に対する正気の抵抗力は低下しているため、正邪の間に激しい闘争はみられないこと。
疾病の後期、多くの慢性病証、誤治により正気を失った病証などに多く見られる。
体質的なものとしては骨肉がすんなりしてか細く胃腸が弱く無力的な体質の人に多く見られる。
主な症状として自汗、下痢、小便頻数、筋肉に弾力性がない、症状が少しずつ悪くなる、
軽度の眩暈、喜按、隠痛、症状が疲労で増悪、休息で軽減、鄭声、脈は濡弱微虚がある。
実証
実とは、外邪の感受または体内の病理産物(お血・痰など)によって起こる病理的な状態の総称。
身体に不必要なものがあるため邪気の亢進であり、
邪気の旺盛さを主とするために起こる証候である病理の反映。
邪気のみならず正気も比較的旺盛であり抵抗力も強いので、正邪の間に激しい闘争は激しくなること。
外感六淫による疾病の初期・中期、及び痰・水・血などの停滞による病証に多く見られる。
体質的なものとしては骨肉ががっしりとして胃腸が丈夫で生命力の旺盛な体質の人に多く見られる。
主な症状として無汗、便秘、小便の回数が少ない、筋肉に弾力性がある、
症状が急に悪くなった、拒按、激痛、症状が疲労や休息で変わらない、譫語、脈は弦洪滑実がある。
ウィキペディアフリー百科事典より
こちらは、東洋医学で言う「虚証」・「実証」の意味を調べてみました。
ここで言う虚実を簡単に表現すると・・・
虚=不足している、低下している、弱っているなど
実=過剰にある、亢進しているなど
になります。
ただ、全てのものごとには基準がないと比較はできないので
何に対しての「虚」なのか「実」なのかが判りません。
そこで基準は太極になるのです。
これを人に当てはめると、太極は「精気」になります。
しかし、人は生きていれば一日たりとも生まれた時と全く同じ状態であることはなく徐々に変化をしていきます。
なので、精気は徐々に消耗【精気の虚(生命力の低下)】が起こるのです。
精気を太極にするならば、太極そのものに陰陽はないので虚実はないことになる。
しかし、時間か少しでも進むと「精気」は太極ではなくなり、そこに陰陽の2相を持ち、
陰陽の2相から虚実が生じる過程が続くことになる。
精気の虚が進んだ先に陰陽があり、
そこから虚・実の症状があるので、
虚・実の背景には必ず精気の虚が影響していることになる。